高騰を続ける光熱費対策や災害時の備えとして、家庭用蓄電池の導入を考えている方も多いのではないでしょうか? しかし、家庭用蓄電池は初期費用が高額なため、なかなか手が出しにくいのが現状です。
実は家庭用蓄電池の導入には、お得な補助金制度が利用できることをご存知ですか?
本記事では、2025年に利用可能な家庭用蓄電池の補助金制度を、国や地方自治体別にわかりやすく解説します。補助金制度を上手に活用して、初期費用を抑えながら蓄電池を導入しましょう!
補助金を活用して家庭用蓄電池を導入できる?
家庭用蓄電池とは家庭に設置できる充電池のことで、系統電力や太陽光発電で得た電力を蓄えておくことができます。
様々なメーカーから、蓄電容量4.0kWh〜16.6kWhの製品が販売されています。
しかし、工事費用を含めた設置費用の相場は13〜15万円/kWh程度と高額なため、導入の障壁となっています。

【例】
オムロン マルチ蓄電プラットフォーム 9.8kWhの場合
⇒ 設置費用相場 130~150万円
ニチコン 家庭用蓄電システム 16.6kWhの場合
⇒ 設置費用相場 200~250万円
このように初期費用が高額な蓄電池ですが、補助金を活用することで導入しやすくなります。
次章以降では国や自治体の補助金について徹底解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
家庭用蓄電池のメリットとデメリット

家庭用蓄電池のメリットとデメリットについて簡単に触れておきます。
家庭用蓄電池のメリット
①災害時の電力確保
家庭に大型の蓄電池があれば、自然災害などによる長時間の停電が発生しても、蓄電池に貯めておいた電力を使用できます。
夜間の停電であっても照明が利用できますし、電子レンジや電気ポットなどで調理も可能で災害時でも最低限の生活を送ることができます。
また、蓄電池を利用してテレビを受信できるだけでなく、スマートフォンやノートパソコンの充電も可能になり、災害情報や安否確認などの情報収集を行うことができます。孤立しがちな災害時には大きな安心感につながるでしょう。
②太陽光発電の有効活用
太陽光発電システムと家庭用蓄電池を組み合わせることで、日中に発電した電力のうち使い切れずに余った電力を貯めておくことができます。
特に、固定価格買取制度(FIT)を利用して太陽光発電を設置し10年間の買取期間が終了した場合にも蓄電池の導入は非常に有効です。なぜなら一般送配電への売電はFIT価格よりも買取価格が大幅に下がってしまうからです。
電力価格が高騰している現在では、安価で売電するよりも蓄電池を導入して系統電力の購入量を抑える方がコストメリットが得られることもあります。
③電気代の削減
多くの電力会社では時間帯によって電気料金が異なるため、電気料金が安い時間帯に電力を蓄電池に充電し、電気料金が高い時間帯に放電することで電気代を節約できます。これを「ピークシフト」と呼び、時間帯別料金プランへの加入でより効果的に行えます。
また、電力需要が高まる時間帯に蓄電池から送電網に電力を供給する「デマンドレスポンス」に協力することで、電力供給の安定化にも貢献できます。

家庭用蓄電池のデメリット
❶寿命がある
蓄電池の寿命は、一般的に10〜15年程度とされています。これは、充電と放電を繰り返すことで蓄電池が徐々に劣化するためです。メーカーのスペック表には、充放電サイクル回数と劣化度合いの関係が記載されていますので、導入前に確認しておきましょう。
また、保証期間はメーカーによって異なるため、こちらも必ず確認するようにしましょう。
❷設置スペースが必要
蓄電池には屋内設置型と屋外設置型があります。屋内設置型の場合は、日常生活に支障がない場所を確保できるか確認が必要です。屋外設置型の場合は、直射日光や雨風を避けて設置できる場所を選ぶことで、性能を維持し、長持ちさせることができます。
導入を検討する際は、設置業者に現地確認を依頼し、希望する場所に設置可能か確認しましょう。
2025年に利用可能な国の補助金制度

2025年度においては、経済産業省と環境省がそれぞれ家庭用蓄電池の補助金制度を実施する予定です。
ただし、国の補助金は原則として併用できません。
そのため、どの補助金を活用するか慎重に検討する必要があります。
経済産業省の補助金制度
子育てグリーン住宅支援事業
国土交通省・経済産業省・環境省が連携して2024年度に実施された住宅の省エネ化支援事業「子育てエコホーム支援事業」は、名前と内容を若干変更し「子育てグリーン住宅支援事業」として2025年度も実施されています。
この事業では、蓄電池の設置も補助の対象となっており、少額ながらも条件を満たせば高い確率で補助金を受け取ることができます。
住宅の新築(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)の場合、世帯形態や住宅性能に応じて1戸あたり40万円から160万円の補助金が交付されます。
蓄電池が直接的な補助対象となるのは既存住宅のリフォームです。
このリフォームには、以下の必須工事が含まれます。
- 開口部の断熱改修
- 躯体の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
これらの工事の実施状況によって、下記のように補助金額が異なります。
- Sタイプ(必須工事3種全てを実施):補助金上限60万円/戸
- Aタイプ(必須工事3種のうちいずれか2種を実施):補助金上限40万円/戸
エコ住宅設備には蓄電池も含まれており、2024年度の実績では1戸あたり64,000円の補助金が交付されます。
子育てグリーン住宅支援事業 公式サイト

家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業費補助金(DR補助金)
「家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業費補助金(DR補助金)」は、最大60万円の補助額と1/3の補助率に加え、工事費も補助対象となるため、非常に人気があります。
2024年度の補助金実績は以下の通りです。
- 補助金基準額:3.7万円/kWh
- 補助率:1/3以内
- 補助金上限額:60万円
- 公募期間:2025年3月26日(水)~ 2025年12月5日(金)
DRに対応するため、登録された小売電気事業者もしくは電力アグリゲーターと契約し、補助金対象として登録された機器を購入することが条件となります。
家庭用蓄電池のDR(デマンドレスポンス)とは、電力の需給に合わせて電力消費を調整する仕組みです。家庭用蓄電池においては、電力需要ひっ迫時には蓄電池の電気を優先的に使用し、電力供給余剰時には蓄電池を満充電にすることが想定されています。
人気の補助金であるため、公募後すぐに予算枠を使い切る可能性が高いのが難点です。検討されている方は、業者と相談して早期の申請が必要です。

環境省の補助金制度
戸建住宅をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化する支援として、2つの補助金制度があります。
- 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業:定額55万円/戸
- 次世代ZEH+補助金:定額90万円/戸
次世代ZEH+補助金は、蓄電池設置でさらに20万円/戸が追加されます。
これらの補助金制度について、より詳しくは以下リンクの記事をご覧ください。
【2024年最新】太陽光発電にもつかえるZEH補助金について徹底解説!
地方自治体の補助金制度
国が提供する補助金と地方自治体(都道府県・市区町村)が提供する補助金は、制度によっては併用が可能です。
複数の補助金を組み合わせることで、蓄電池の導入費用を大幅に抑えられる可能性があります。
東京都の補助金制度
東京都には、家庭用蓄電池の導入を支援する様々な補助金制度がありますが、
特に注目すべきは「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」です。
この補助金制度は、以下の計算式で算出された金額と助成対象経費の3/4の額のうち、いずれか少ない額が補助金として交付されます。
●太陽光発電システムがある場合
以下のうちいずれか小さい額(最大1,500万円)
(a)蓄電容量(6.34kWh以上):15万円/kWh(100kWh未満)
(b)蓄電容量(6.34kWh未満):19万円/kWh(最大95万円)
(C)助成対象経費の3/4の額
●太陽光発電システムが無い場合
以下のうちいずれか小さい額
(a)蓄電容量(6.34kWh以上):15万円/kWh(100kWh未満)
(b)蓄電容量(6.34kWh未満):19万円/kWh(最大95万円)
(c)120万円
(d)助成対象経費の3/4の額
さらに、デマンドレスポンス実証(DR実証)に参加する場合は、上記の補助額に加えて10万円が加算されます。
この補助金制度の最大の魅力は、国の補助金と比較して圧倒的な補助率と金額であることです。
東京都HP:令和7年度 家庭における蓄電池導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

埼玉県の補助金制度
埼玉県は家庭部門の脱炭素化を促進するため、自らが居住する既存住宅に新たに省エネ・再エネ活用設備を導入する方に補助金を交付しています。
対象となる省エネ・再エネ設備は蓄電池とエネファームで、1件あたり10万円の補助金が受けられます。
ただし、蓄電池の補助金は住宅に太陽光発電設備が設置されている場合(新設でも可)に限りますのでご注意ください。
埼玉県HP:【令和7年度】家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金
その他の自治体の補助金制度
令和7年度の補助金情報をいくつかご紹介します。
自治体名 | 補助金名称 | 補助率 | 補助金額 | 補助金上限額 |
東京都足立区 | 蓄電池設置費補助金 | ー | 5万円/件 | 5万円 |
東京都葛飾区 | かつしかエコ助成金 | 1/4以内 | ー | 20万円 |
東京都杉並区 | 杉並区再生可能エネルギー等の導入助成及び 断熱改修等省エネルギー対策助成金 | ー | 1万円/kWh | 8万円 |
東京都目黒区 | 目黒区住宅用再生可能エネルギー及び省エネルギー設備設置費助成 | 1/3以内 | ー | 7万円 |
神奈川県川崎市 | 太陽光発電設備等設置費補助金 | 1/2以内 | 10万円/kWh | 70万円 |
千葉県千葉市 | 住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金 | ー | 7万円/件 | 7万円 |
福島県郡山市 | 郡山市エネルギー3R推進事業補助金 | ー | 10万円/件 | 10万円 |
新潟県新潟市 | 住宅用再生可能エネルギー等導入促進事業 | ー | 1万円/kWh | 10万円 |
愛知県名古屋市 | 住宅等の脱炭素化促進補助 | ー | 1.5万円/kWh | 12万円 |
福岡県福岡市 | 住宅用エネルギーシステム導入支援事業 | 1/2以内 | 40万円/件 | 40万円 |
その他、お住まいの自治体に蓄電池に使える補助金があるか確認してみましょう。
まとめ

光熱費の高騰や災害対策として注目される家庭用蓄電池ですが、初期費用がネックとなり導入をためらっている方も多いのではないでしょうか。しかし、国や自治体が提供する補助金制度を最大限に活用することで、費用負担を大幅に軽減できる可能性があります。
2025年度は経済産業省や環境省の補助金に加えて、地方自治体独自に補助金制度が利用できる場合もあります。
特に東京都の制度は補助率が高く、非常におすすめです。
お住まいの自治体でも独自の補助金制度を実施している場合がありますので、ぜひ一度確認してみてください。
補助金は予算に限りがあるため、早めの情報収集と申請準備が重要です。
この記事で紹介した情報を参考に、最新の補助金情報をチェックし、お得に蓄電池を導入しましょう!

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