【2025年最新】系統用蓄電池の補助金活用と3つのビジネスモデルを徹底解説!

『2050カーボンニュートラル』目標に向けてエネルギーの脱炭素化(CO2排出量削減)への流れが加速する中で、再生可能エネルギーの導入拡大が急務となっています。

しかし、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは発電量が天候に左右されやすいという特徴があるため、電力の安定供給における課題を抱えています。この課題を解決し、再生可能エネルギーの主力電源化を支えるのが「系統用蓄電池」です

近年、系統用蓄電池の導入を促進するために多様な収益モデルと充実した補助金制度が用意されており、新たな投資機会として注目を集めています。

本記事では、系統用蓄電池の概要とビジネスモデル、2025年度に利用可能な補助金について詳しく解説していきます。

系統用蓄電池は、環境経営を推進し企業価値を高めると同時に、新たな収益源を創出する魅力的なビジネスチャンスになり得ます
系統用蓄電池の導入を検討している企業の経営者様、担当者様はぜひ参考にしてみてください。

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系統用蓄電池とは?

系統用蓄電池とは、発電所から住宅や施設などに電気を送る送配電網(電力系統)に直接接続される大型蓄電池のことです。充電した電気を必要な時に放電することで、電力の需給バランスを調整する役割を担います。

家庭用蓄電池や業務・産業用蓄電池が、設置された建物内での電気の利用(自家消費)や停電時の非常用電源としての用途を主な目的とするのに対し、系統用蓄電池は、電力系統全体の安定化に貢献することを目的としています。

具体的には、系統用蓄電池は太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電量が不安定な時に、余った電気を蓄えたり足りない時に電気を供給したりすることで、電力の供給を安定させる働きをします。発電設備とセットでなくても、蓄電池単独での設置が可能なことも特徴です。

系統用蓄電池事業に参入するメリットと注意点

系統用蓄電池を設置すると、以下の3つのビジネスモデルを通じて収益を上げることが可能になります。

系統用蓄電池のビジネスモデル①卸電力市場での売買(アービトラージ)

電力が安価な時間帯(需要の少ない深夜や太陽光発電の出力が多い昼間)に卸電力市場(JPEX)から購入した電力を蓄電池に充電し、電力需要が増加し電力価格が高騰する時間帯(夕方や朝のピーク時)に放電・売却することで、市場の価格差から利益を得る方法を「アービトラージ」と言います。

比較的参入障壁が低いものの、電力価格や需要の変動を予測する専門的な知識や、売買のタイミングを逃さない運用技術が必要となります。そのため、実際の運用に関しては専門事業者に系統用蓄電池に委託することが現実的でしょう。

系統用蓄電池のビジネスモデル②需給調整市場での取引

「需給調整市場」とは、電力の需給バランスを調整するために電気の供給力や需要の抑制力といった「調整力」を取引する市場です。系統用蓄電池を活用して、この需給調整市場に参加することが可能です。

電力供給が不足しそうな時などに市場からの要請に応じて、系統用蓄電池に貯めた電力を放電することで報酬を得ることができます。すべての時間帯が取引の対象となるため、遠隔自動制御によって蓄電池の稼働率を高めて収益を最大化することが可能です。

また、複数の小規模な蓄電池や発電設備を束ねる「アグリゲーター」と呼ばれる事業者を介することで、比較的小規模な系統用蓄電池でも取引市場へ参加できる可能性があります。

系統用蓄電池のビジネスモデル③容量市場への入札

系統用蓄電池は、「容量市場」に入札して将来の電力供給能力を事前に提供することで、その対価を得ることができます。

具体的には、実需給の4年前に実施されるメインオークションに参加し、将来の供給力を提供することで固定的な収入を得られます。

ただし、実際に収益を得られるのが4年後となるため、長期的な視点での事業計画が必要となります。系統用蓄電池のメリットを最大限に活かすために、当初はアービトラージと需給調整市場で実績を積み、その後に容量市場にも参入することで、安定的な収益基盤を構築できます。

系統用蓄電池事業に参入する上での注意点

系統用蓄電池事業には多くのメリットがある一方で、下記のような注意点も存在します。

  • 系統への接続申請から実稼働するまでに時間がかかる
  • 蓄電池を設置するための用地を確保しなければならない
  • 導入時にコストや労力がかかる

系統用蓄電池を電力系統に接続するためには、電力会社との協議や接続工事が必要となり、時間を要する場合があります。

また、設置に適した既存の土地が無い場合には、系統用蓄電池のための用地を確保する必要があります。送配電系統に近く、十分な広さを持つ安価な土地を見つけることは容易ではないでしょう。

系統用蓄電池の設置には、蓄電池そのものの設備費用だけでなく、土地の確保や設計・工事費用など、さまざまなコストと労力がかかります。

初期投資の負担を軽減するため、国や自治体は系統用蓄電池の導入を支援する補助金制度を設けており、これらの補助金を活用することで、導入コストを抑えることが可能です。

次章では、補助金制度について具体的に解説します。

タイナビ発電所

系統用蓄電池の補助金

系統用蓄電池の導入を後押しするため、国や自治体はさまざまな補助金制度を提供しています。
ここでは、代表的な補助金制度を紹介します。

【経済産業省資源エネルギー庁】
再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金

この補助金は、太陽光・風力等変動再エネの導入を加速化するため、各種電力市場等を通じて調整力等を供出する蓄電システム等の導入を支援するものです。

上限が40億円もあり、大規模な投資にも活用が可能な補助金です。

項目内容
予算令和7年度概算要求額400億円
補助金執行団体SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
補助対象・最大受電電力が1,000kW以上 ・電力系統に直接接続する蓄電システム
補助率・補助金額最大受電電力が1,000kW以上10,000kW未満:設計費・設備費・工事費の1/3以内(上限10億円) 最大受電電力が10,000kW以上:設計費・設備費・工事費の1/2以内(上限40億円)

【東京都】
再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業

東京都は、東京電力管内の電力系統に直接接続する大規模蓄電池の導入を推進しています。

国の補助金とも併用可能であるため、都内近郊で系統用蓄電池の設置を希望する事業者はぜひ活用を検討してみてください。

項目内容
予算令和6年度130億円(助成金の申請は令和10年度まで可能)
助成対象・最大受電電力が1,000kW以上 ・都内に登記簿上の本店又は支店を有している法人が設置する、東京電力管内の電力系統に直接接続する蓄電システム
助成率・助成金額対象経費の2/3以内(上限20億円) ※国の助成金と併給する場合でも合計2/3以内 ※電動車の駆動用等に使用された蓄電池モジュールを2次利用し組み込まれた蓄電システムの場合は、助成対象経費の3/4

まとめ

系統用蓄電池は再生可能エネルギーの導入拡大と電力の安定供給に不可欠な技術であり、その導入には国や自治体からの手厚い支援が用意されています。

補助金制度は年度ごとに内容が変更される可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。特に、年度替わりとなる4月に補助金公募が開始されることが多いため、各省庁や自治体のホームページをマメにチェックしましょう。

また、国の補助金と自治体の補助金は一般的に併用が可能です。事業所所在地の自治体独自の補助金制度があるか、問い合わせてみることをおすすめします。

系統用蓄電池の導入は、脱炭素社会の実現に貢献するだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出する可能性を秘めています。補助金制度を有効活用し、系統用蓄電池事業への参入を検討してみてはいかがでしょうか。

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