「ソーラーカーポート」は、駐車場スペースを有効活用しながら太陽光パネルを導入できる注目の設備です。国はCO2削減のために更なる再生可能エネルギーの拡大を目指しており、駐車場を有効活用しながら建物に電気を送ることができるソーラーカーポートの設置を強く推進しています。
この記事では、ソーラーカーポートの基本的な情報とメリットやデメリット、設置費用相場と導入を後押しする最新の補助金情報まで詳しく解説します。駐車場の利便性向上、電気料金の削減、環境に優しい再生可能エネルギーの導入という多岐にわたる利点がありますので、個人の方から企業経営者、設備担当者の方まで、ぜひ参考にしてください。
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ソーラーカーポートとは?
ソーラーカーポートとは、アルミやスチール製のカーポートの屋根部分に太陽光発電パネルを設置した設備のことです。大切な車を雨や雪、直射日光から守るというカーポート本来の機能に加え、駐車場の上部空間を有効活用して太陽光発電による再エネ電力の創出を可能にします。

ソーラーカーポートの種類
ソーラーカーポートには、「一体型」と「搭載型」の2つのタイプがあります。
一体型ソーラーカーポート
一体型のソーラーカーポートは、カーポートの屋根そのものが太陽光発電パネルとして最初から設計されているタイプです。サイズや構造が太陽光パネルの設置を前提に最適化されているため、より多くの太陽光パネルを効率よく搭載できるのが特徴です。
ソーラーカーポートで多くの設置実績のあるネクストエナジー社の「Dulight(デュライト)」のラインナップは下記の通りとなっています。住宅用から事務所や商業施設への用途まで、さまざまなニーズとパターンに適用できることがお分かりいただけると思います。
用途 | 駐車台数 | 出力 (kW) |
産業用 | 6台置き | 16.52 |
8台置き | 21.24 | |
10台置き | 25.96 | |
12台置き | 31.86 | |
住宅用 | 2台置き | 5.90 |
3台置き | 8.26 | |
4台置き | 10.62 |
参照:ネクストエナジー Dulight HP


搭載型ソーラーカーポート
搭載型ソーラーカーポートは、すでに設置されているカーポートや新しく設置するカーポートの屋根に、専用の取付け金具(架台)を用いて太陽光パネルを設置するタイプです。
屋根材が古くなっていたり、屋根の形や太陽光の反射が近隣に影響を与える可能性があるなど、建物本体への太陽光パネル設置が難しい場合でも、既存のカーポートを有効活用できる可能性があります。
カーポートの屋根への太陽光パネルの設置は、住宅や施設の屋根への設置と同様に考えられます。しかし、屋根の強度や地域の積雪量によっては設置ができなかったり、補強工事が必要になることがあるため詳細な検討が必要です。

ソーラーカーポートの費用相場
ソーラーカーポートの設置費用は、駐車台数(サイズ)、カーポートのタイプ(一体型・搭載型)、搭載する太陽光発電システムの容量などによって大きく変動します。以下は一般的な目安となります。
駐車台数 | 一体型(目安) | 搭載型(目安) |
1台 | 140万円~150万円 | 170万円~ |
2台 | 200万円~210万円 | 210万円~230万円 |
3台 | 250万円~270万円 | 280万円~ |
4台 | 300万円~350万円 | 320万円~430万円 |
※ 上記の費用はあくまで目安であり、メーカーや製品グレード、工事内容によって異なります。
※ 初期費用に加えて、定期的なメンテナンス費用や、発電量を監視するためのモニタリング費用などのランニングコストも考慮しておく必要があります。

ソーラーカーポートのメリットとデメリット

ソーラーカーポートの導入を検討する上では、下記のメリットとデメリットをしっかり把握しておきましょう。
ソーラーカーポートのメリット

駐車スペースを有効活用できる
デッドスペースになりがちな駐車場の上部空間で発電が可能です。家屋の屋根形状や耐荷重の問題で太陽光パネルを設置できない場合でも再エネの導入が可能になりますので、選択肢が大きく広がります。
また、大切な車を雨や雪、鳥の糞などから守ります。真夏の直射日光による車内温度の上昇や冬季の霜付きなどを軽減する効果も期待できるでしょう。
電気代を削減できるケースも
ソーラーカーポートで発電した電力を自宅や事業所で自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らせます。高騰を続けている電気料金との差額を考えると、ソーラーカーポートの設置コストを比較的短期間で回収できる可能性もあります。
非常用電源としての活用や蓄電池との連携
自立運転機能付きパワーコンディショナーとの組み合わせで、停電時でも日射があれば発電した電力を利用可能です。また、蓄電池を併用すれば夜間や悪天候時でも貯めた電力を利用でき、電力を余すことなく有効に活用できるでしょう。
EV(電気自動車)との親和性
EV充電器と組み合わせれば、発電したクリーンな電力でEVを充電できるようになります。電気料の削減と併せて環境負荷の低減に貢献できます。
ソーラーカーポートのデメリット

初期費用が高額
通常のカーポートと比較して、太陽光発電システムが加わるため設置費用が高額になります。ただし、後述する助成金・補助金を有効に活用することで初期費用を大幅に抑えることも可能です。
環境によって発電量が変動する
カーポートの屋根は建物よりも低いため、周囲の建物や樹木による影の影響を受けやすく、期待通りの発電量が得られない可能性もあります。そのため、設置の際には事前調査と発電シミュレーションが重要になります。
建築確認申請や固定資産税の対象になる
新設する場合には、規模や地域によっては建築確認申請が必要となる場合があります。申請費用が必要になるだけでなく、建物が敷地目一杯に配置されている場合などには建ぺい率オーバーとなり、法的に設置ができない可能性もあります。
また、太陽光発電設備やカーポート自体が固定資産税の課税対象となる可能性があるため、事前に設置予定地の自治体に確認しておくことをおすすめします。
2025年最新!ソーラーカーポートの補助金情報

ソーラーカーポート導入の大きなハードルである初期費用ですが、これを軽減するために国や自治体が用意している補助金制度があります。2025年(令和7年)における最新の補助金情報を、個人向けと法人・団体向けに分けて解説します。
【個人向け補助金】
2025年現在、国から個人が設置するソーラーカーポートそのものに対する直接的な補助金制度はありません。
しかし、多くの自治体では住宅用太陽光発電システムの導入に対する補助金制度を実施しており、その中でソーラーカーポートへの設置も対象に含めている場合があります。

・東京都の例
「家庭における太陽光発電導入促進事業」
東京都が実施している、住宅への太陽光発電システム導入を支援する助成事業です。太陽光発電設備は「住宅の敷地内」への設置が対象であり、カーポート上に設置する太陽光発電設備も助成対象となります。
ただし、助成対象は太陽光発電設備部分のみで、カーポート本体の費用は含まれません。
令和6年度事業は終了しています。令和7年度事業の事前申込は令和7年5月末頃に開始される予定ですので、検討される方は早めに業者に相談し、こちらのサイトを参考にして必要書類等を準備しておきましょう。
助成対象機器 | 住宅種別 | 出力 (kW) | 助成額 |
太陽光発電システム | 新築住宅 | 3.6kW以下の場合 | 12万円/kW(上限36万円) |
3.6kWを超える場合 | 10万円/kW(50kW未満) | ||
既存住宅 | 3.75kW以下の場合 | 15万円/kW(上限45万円) | |
3.75kWを超える場合 | 12万円/kW(50kW未満) |
※ 自家消費用途の出力50kW未満の太陽光発電システムであることが要件で、売電は不可
※ 太陽光パネルやパワコンなどの発電設備・設置工事費が助成対象
・その他の自治体
お住まいの自治体で同様の補助金制度があるか、またソーラーカーポートが対象となるかについては、自治体のウェブサイトや担当窓口で最新情報をご確認ください。

【法人・団体向け補助金】

法人や各種団体がソーラーカーポートを導入する場合には、環境省の補助金を活用することが有力な選択肢となります。
・環境省
「再生可能エネルギー事業者支援事業費(駐車場を活用した太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業)補助金」
環境省の補助金は、太陽光発電設備だけでなく、ソーラーカーポート本体(架台)や基礎工事なども補助対象となる点が大きなメリットです。また、ソーラーカーポートと同時に設置する場合は蓄電池も補助対象となります。
さらには、ソーラーカーポートとの同時購入で電気自動車またはプラグインハイブリッド車、充放電設備までも補助対象とすることができますので、検討の価値がある魅力的な補助金です。
ただし、補助対象となるのは民間企業、独立行政法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人、協同組合等、一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人などで、個人の場合は応募ができないことにご注意ください。

【主な要件】
- 発電量の50%以上を設置場所の敷地内で自家消費すること
- パワーコンディショナーの最大定格出力の合計が5kW以上であること
- FIT/FIP制度(固定価格買取制度/フィードインプレミアム制度)を利用した売電をしないこと
【補助対象経費】
- 太陽光発電一体型/搭載型ソーラーカーポート本体
- カーポートおよび付帯設備の基礎、パワーコンディショナー、配線、監視装置、蓄電池、EV充電設備 など、導入に必要な設備
- 定置型蓄電池
- 車載型蓄電池
(充放電設備と同時に導入する外部給電が可能な電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車) - 上記の設置に伴う設計費や工事費
【補助率・補助額】
令和6年度実績
補助率3分の1(上限は1億円)
ただし、車載型蓄電池、充放電設備及び充電設備の補助率は以下が適用
① 車載型蓄電池・・・蓄電容量(kWh) ÷2 × 4万円
② 充放電設備 ・・・補助率2分の1
③ 充電設備 ・・・補助率2分の1
令和7年度(2025年度)見込み
2025年度はまだ公募前ですが、制度変更が予定されており、ソーラーカーポートの発電出力1kWあたり8万円となる見込みです。
【補助金公募期間】
令和6年度実績
- 一次公募:3/31から4/26まで
- 二次公募:5/19から6/15まで
- 三次公募:1/24から2/29まで
令和7年度(2025年度)見込み
令和6年度と同様のスケジュールで公募が行われる可能性が高いと考えられます。
予算には限りがあるため、早期の準備と情報収集が重要です。
補助金執行団体である「一般社団法人 環境技術普及促進協会(ETA)」のウェブサイトで最新の公募情報をご確認ください。
参照:一般社団法人環境技術普及促進協会(ETA)

まとめ

ソーラーカーポートは、駐車スペースを有効活用しながら再生可能エネルギーを生み出し、電気代削減や環境貢献、さらには災害対策やEVの活用にも繋がる、多くのメリットを持つ設備です。
初期費用は決して安くありませんが、2025年度も補助金制度が用意されており、特に法人・団体向けの環境省補助金はカーポート本体を含めて支援が受けられる大きなチャンスです。
個人の方も、お住まいの自治体の補助金制度を確認する価値があります。
この記事を参考に、ぜひソーラーカーポートの導入を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。最新の補助金情報をこまめにチェックし、賢く制度を活用して、持続可能な社会への貢献と経済的なメリットの両立を目指しましょう。

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