市場連動型プランの仕組みとメリットを徹底解説!契約見直しで電気料をお得に

2022年に電気料金が高騰し、多くの事業者が大きな打撃を受けました。その後も高止まりする電気料金にお悩みの経営者や管理担当の方も多いでしょう。

従来の電気料金プランから「市場連動型プラン」に契約を切り替えることによって、大幅に電気料金を削減できる可能性があることをご存じでしょうか?

今回は市場連動型プランの仕組みとメリットを詳しくご紹介します。
電気料金に対する不安とお悩みを解決できる可能性がありますので、本記事を参考にぜひ市場連動型プランをご検討ください。

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新電力の市場連動型プランがシェアを拡大中!

市場連動型プランを提案する電力会社が増えています。まずはその背景について解説します。

新電力会社について

電気事業法の改正による「電力自由化」によって、東京電力や関西電力などの地域大手電力会社以外の民間事業者も電力を販売することが可能になりました。

当初は特別高圧(20,000V以上)と高圧(6,000V)の業務用電力のみが規制緩和の対象でしたが、2016年からは低圧(100/200V)を含めたすべての区分で自由に電力会社を選べるようになっています。

この規制緩和によって新規に参入した会社を「新電力」と呼びます。新電力の登録事業者数は年々増加しており、2024年10月現在で 7 3 4 社 にも達します。

新電力については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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契約の見直しで電気料を下げるチャンス

「基本料金+電力量料金(従量料金)」をベースとして火力発電所の燃料費コストを反映して毎月単価が変動するのが、従来からある一般的な電力契約プランです。

新電力は新規顧客獲得のために、各社工夫をこらしたさまざまな電気料金プランを提案しています。

【新電力の電気料金プランの例】

  • 完全固定料金プラン…基本料金単価と従量料金単価が完全に固定されるプラン
  • CO2フリー電力プラン…使用した電力に非化石証書を紐づけしてCO2排出量を実質的に削減できるプラン
  • 市場連動型プラン…日本卸電力取引所(JEPX)からの調達価格を反映して料金を変動させるプラン

注目を集めている「市場連動型プラン」

新電力の料金プランの中でも市場連動型プランが最も注目を集めており、シェアを拡大しています。

このプランは電気料金を日本卸電力取引所(JEPX)スポット価格と従量料金を連動させることが特徴で、大幅に電気料金を削減できる可能性があるのです。

次章以降では、この市場連動型プランについて詳しく解説します。

従来の電気料金プランの問題点を解消する市場連動型プラン

従来の料金プランの特徴と問題点を整理したうえで、市場連動型プランの優位性を解説します。

従来の電気料金プランの特徴

あらかじめ定められた単価×使用量で電気料を算出する方式で、「従量電灯型」と呼ばれます。

「基本料金+電力量料金( 燃料費等調整額により変動)+再エネ賦課金」が従量電灯型の基本となる料金算定式です。

電力量料金の中には、火力発電所の燃料(LNG、石炭、原油)の輸入価格の変動によって単価を増減する仕組みが組み込まれます。火力発電は国内発電量の7割超のシェアを占めており、電力供給コストに直結するためです。

ただし、急激に増減しないように国による規制が掛けられており、変動幅は緩やかです。

ローンに例えると「固定金利型」に該当します。
料金が比較的安定している代わりにやや高めの単価が設定されている契約プランといえます。

下表は東京電力エナジーパートナーの代表的な料金プランです。

低圧契約では電気を使用するほど単価が上がり高圧契約では電力需要が多い季節や時間帯にペナルティ的に電気料が上がることが分かります。

【低圧契約の例:東京電力EP「スタンダード(関東エリア)」】

料金項目単位使用量単価
基本料金10A10A〜60A311.75円
1kVA6kVA以上
電力量料金1kWh〜120kWh29.80円
121kWh〜300kWh36.40円
301kWh〜40.49円

【高圧契約の例:東京電力EP「業務用季節別時間帯別電力(契約電力500kW未満)】

料金項目時間帯季節単位単価
基本料金  1kW1,890.00円
電力量料金ピーク時間 1kWh23.20円
昼間時間夏季22.49円
その他季21.06円
夜間時間 15.74円

※1 夏期…7~9月 昼間…8:00~22:00 夜間…22:00~8:00 ピーク時間…夏期の月~土、13:00~16:00

※2 いずれも消費税込、2024年10月時点での料金

従来の料金プランの問題点

従来型の料金プランでは、電力量料金が火力発電所の燃料(LNG、石炭、原油)輸入価格から算出される「燃料費等調整額」により毎月変動します。

燃料費等調整額は国際情勢に大きく左右されます。事実、ロシアーウクライナ戦争の影響などで2022年をピークに燃料費が長期的に高騰を続けた結果、電気料が大幅に上昇して多くの事業者が苦しむことになりました。

2023年に入ってからは燃料費の高騰が落ち着き、燃料費等調整額は緩やかに下落を続けています。
しかし、変動幅に国の規制があるため価格に硬直性があり、高騰が解消されても電気料は高止まりしているのが現状です。

そのような中で、料金改定に踏み切り大幅な値上げを実施した大手電力会社も出ています。

下表は2023年3月期決算の大手電力各社の純利益です。10社中8社が過去最高益を出しています。電気料金が高止まりしている上に、大手電力会社が大きな収益を上げている現状を疑問に思いませんか?

大手電力10社の2024年3月期決算純利益

社名当期純利益(億円)
関西電力4,418
中部電力4,031
東京電力HD2,678
東北電力2,261
九州電力1,664
中国電力1,335
北海道電力662
四国電力605
北陸電力568
沖縄電力23

市場連動型プランの特徴

市場連動型プランの特徴は「JEPXスポット市場単価×使用電力量」で料金を算出することです。毎日30分ごとに変動するJEPXスポット市場価格に連動して電気料金も変動します。

ローンに例えるなら「変動金利型」に該当し、市況が下がるときにはダイレクトに電気料金が下がります。

従来の料金プランでは電力市場価格が安価に推移しても料金単価は固定ですが、市場連動型プランは「市場が安い時には安く買える」ことが大きなメリットです。

JEPXについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。

{JEPX記事ページをリンクすること}

市場連動型プランの仕組みとメリットについて詳しく解説

市場連動型プランの仕組みとメリットについて、より詳しく見ていきましょう。

市場連動型プランの料金構成

市場連動型プランの料金を構成する要素は次の6つです。

  1. 基本料金
  2. 電力量料金
  3. 託送料金
  4. 容量拠出金
  5. 再エネ賦課金
  6. 事務手数料

基本料金

「契約容量(kW)×単価」の計算式によって月額基本料金を算出します。

完全市場連動型プランの多くは、送配電網の利用料金として支払いが必須の「託送基本料金」のみに設定されており、従来型の電気料金プランよりも大幅に安くなることがほとんどです。

電力量料金

「JEPXスポット市場価格×使用電力量」で算出されます。

時間帯ごとのスポット価格はエリア別に一律に決定されますので、販売する電力会社による価格差はありません。

託送料金

電気をユーザーに送る際には、必ず送配電網を利用しなければなりません。その利用料金として各エリアの一般送配電事業者に支払うものです。

エリアごとに単価が違いますが、東京電力エリアの場合は高圧契約で契約電力1kWあたり月額653.87円、使用電力量1kWhあたり1.84円となっています。

参照:東京電力パワーグリッド 託送料金表

https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/retailservice/pdf/ryoukin0401.pdf

容量拠出金

2024年4月から制度が開始された「容量拠出金」は、発電所の維持管理と新設のために必要なコストを小売電気事業者などが負担するものです。

エリア内のシェア率によって販売する電力会社に容量拠出金の負担額が割り当てられますが、電気料金に容量拠出金をどれだけ転嫁するかはその会社の方針により異なります。

容量拠出金についてはこちらの記事もご参照ください。

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再エネ賦課金

太陽光発電や風力発電に代表される「再生可能エネルギー」の固定価格買取制度(FIT)の原資となるもので、電気を使用する者が使用量に応じて等しく負担します。

毎年単価が変わりますが、2024年5月から2025年4月までは1kWあたり3.49円です。

事務手数料

市場連動型プランを提供する会社の事務費用や人件費などの諸経費分です。1kWhあたりの事務手数料単価として電力量料金に上乗せされます。

電気を0.01円で買える時間帯もある

太陽光発電の全国的な増設に伴って、発電量の多い昼間の電気が余るようになったことがJEPXスポット市場の近年の傾向です。

その結果、入札最低価格の0.01円で約定する時間帯が急増しています。

昼間の需要の多い電力ユーザーは、市場連動型プランへの切り替えで大幅にコストを下げるチャンスです!

東京電力エリアにおいて、JEPXスポット価格が0.01円となった時間の合計は下表のように年々増えています。

年度スポット価格0.01円の時間合計
2018年度0
2019年度0
2020年度13時間
2021年度38.5時間
2022年度133.5時間
2023年度172.5時間

実際の例として、2024年5月3日の東京エリアのJEPXスポット価格を見てみましょう。

日中が快晴であった上に休日ということもあり電力需要が伸びず、7時から夕方の4時まで0.01円であったことが分かります。

JEPXスポット市場の長期的な価格動向

下のグラフは東京エリアにおける2005年から2023年までの年度ごとのJEPXスポット市場の平均価格です。

2023年度は平均12.20円/kWhとなっており、従来型料金プランの単価よりもはるかに安価な金額となっていることがお分かりいただけると思います。

ピークの2022年度では23.50円/kWhでしたが、大手電力会社の燃料費等調整額も高騰していましたので、結果的には市場連動型プランのほうがメリットが出たケースが多いでしょう。

市場連動型プランには高騰リスクもある

市場連動型プランには一時的な高騰リスクがあることも知っておきましょう。

なぜなら、JEPXスポット価格は燃料価格(主にLNG:天然ガス)の上昇と需要の急増(猛暑や寒波)により極端に高騰するタイミングもあるためです。

下表は2021年1月15日の東京エリアの例です。

ピークの夕方4時から5時の間に、過去最高値となる252.00円/kWhを記録しました。ただし、1月の平均では63.07円/kWhであり年度平均では14.27円/kWhでしたので、年度を通して見ると特別に高騰したわけではありません。

市場連動型プランのメリットを得られる可能性が高いユーザー

次に該当する事業者は市場連動型プランのメリットを最大限に引き出すことができます!

  • 昼間の電気使用量が多い事業者
  • 休日の電気使用量が多い事業者
  • 夏期/冬期に電気をあまり使用しない事業者
  • 西日本エリア/九州エリアの事業者

昼間の電気使用量が多い

市場価格が高くなりがちなのは夕方4時から夜の8時頃です。その時間帯に電気をあまり使用しない事業者は日中の安価な電気を購入できる割合が多くなります。

休日の電気使用量が多い

土日祝日は多くの企業が休みになりますので、需要が少なくなり市場価格が下落しやすい傾向があります。一般消費者向けの店舗サービス業などは逆に休日に電気を多く使用しますので、メリットがあるといえます。

夏期/冬期に電気をあまり使用しない

夏場は冷房、冬場は暖房に使用する電気が増えるため市場が値上がりします。

ガスヒートポンプなど電気をあまり使用しない空調方式の場合は、夏期と冬期に電気使用量が多くならないため、市場連動型プランにするメリットがあります。

西日本エリア/九州エリア

西日本エリアと九州エリアは、太陽光発電所の設置量が多い上に原発が稼働しているため電力の供給能力が高いエリアです。それに伴いJEPXスポット市場価格も安価に推移していますので、市場連動型プランのメリットを最大限に発揮できるエリアです。

市場連動型プランで電気料金の節減を!

現在契約している電力会社の見直しをすることで、事業に掛かる電気料コストを削減できる可能性があります。

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