太陽光発電が環境に悪いという話をよく聞くけど、本当なの?
太陽光パネルを設置するメリット・デメリットを知りたいな
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昨今では、2050カーボンニュートラル実現に向けて、環境に優しい再生可能エネルギーへの転換が呼びかけられています。
その再生可能エネルギーの1つに太陽光発電があります。
環境に優しいと言われている太陽光発電ですが、設置の仕方や処理によって森林破壊や災害を誘発し、結局、太陽光発電は環境に悪いのではないか。と捉えられた情報も飛び交っています。
太陽光発電を巡る災害や森林破壊はどのように発生しているのでしょうか?
本記事では、太陽光発電のメリット・デメリットも交えつつ、総合的に太陽光発電は環境に良いのか解説していきます。
読み終える頃には太陽光発電の環境負荷や設置するべきかどうかが理解できるので、設置を検討している方はぜひ最後までお読みください。
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太陽光発電は環境に悪いの?
太陽光発電が環境に悪いのは本当だと思いますか?太陽光発電が環境に悪いと指摘されている理由は以下の3つです。
- 太陽光の設置に森林破壊をしている
- 太陽光発電は廃棄問題がある
- 地滑りや土砂崩れ
太陽光の設置に森林破壊をしている
2012年、再生可能エネルギー導入を広めることを狙いとして、FIT法(固定費用買取制度)が創設されました。
FIT法とは、太陽光発電をはじめとする、再生可能エネルギーで発電した電気を国が決めた価格で買い取るよう電力会社に義務付けた制度です。
FIT法創設後、太陽光発電事業に参入する事業者が急増しました。中には悪質業者も存在します。
その結果、利益を優先した乱開発が各地で増え、今ある森林までも削って大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する事例が後を絶ちませんでした。
このような問題を受け、兵庫県では5000平方メートル以上の太陽光発電設置業者に対し、地域住民への事前届け出や事業計画の届け出を義務化する条例を制定しました。
これに追随する形で、太陽光発電施設建設に関する条例を制定する自治体が増えています。
太陽光パネルは廃棄問題がある
一般的に太陽光パネルの寿命は20年〜30年です。
今使われている太陽光パネルが寿命を迎えるであろう2040年頃に廃棄のピークが訪れると予想されています。
実は太陽光発電は参入障壁が低く、廃棄のことまで考慮されていなかったり、そもそも太陽光パネルに有害物質が含まれていることを知らなかったりするケースもあります。
太陽光パネルの廃棄時に費用が捻出できず、不法投棄が増えるのでは?という懸念もされています。
そこで、2022年7月から太陽光発電の廃棄費用積み立て制度が開始されました。
廃棄費用積み立て制度とは、売電収入から廃棄費用が差し引かれ、積み立てを行う団体へ収められる仕組みです。
積み立てを行わなかった事業者に対しては、国からの指導や、FIT制度認定取り消しなどの措置が行われる可能性があります。
また、廃棄という選択だけでなく、フレームやガラスなどはリサイクルに出し、廃棄そのものを減らしていくことも推進されています。
地すべりや土砂崩れ
2018年7月に発生した日本各地での豪雨被害により、太陽光発電所構内で土砂崩れが発生しました。
これ以外にも太陽光パネル建設と関係のある土砂崩れや地滑りは多発しています。太陽光発電所は平地以外の山や丘にも建設可能だからです。
実は土砂崩れの発生が懸念されるような危険な土地は安く仕入れることができるのです。
利益を優先した業者がそういった土地を買い取り、メガソーラーを建設した結果、土砂崩れや地滑りといった被害を産みだしています。
太陽光発電が環境に優しい理由
太陽光発電は環境に優しいと言われていますが、具体的にどういった点が環境に優しいのでしょうか?環境に優しい点は以下の4つです。
- 発電でCO2(二酸化炭素)をほぼ排出しない
- 日本のエネルギー自給率を上げられる
- 環境に悪い要素は大規模発電施設が多い
- ソーラーシェアリングなら森林伐採や災害を防げる
太陽光発電はCO2をほとんど排出しない
現在日本の主力発電となっている火力発電は、石油、石炭、天然ガスなどの燃料を燃やすことによって発電を行っています。
発電量を安定させやすい、エネルギー変換効率が高いというメリットがあるものの、燃料を燃やす際にCO2をはじめとする温室効果ガスを多く排出してしまいます。
2016年のデータで火力発電と太陽光発電のCO2排出量を比較すると、以下の通りです。
- 火力発電:943kWh
- 太陽光発電:38kWh
参考:電力中央研究所
そして、日本のCO2排出量のおよそ4割をエネルギー転換(火力発電)で占めているというデータもあります。
太陽光発電は火力発電に比べると断然CO2排出量が少ないので、環境に優しい発電方法といえます。
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太陽光発電は日本のエネルギー自給率を上げられる
日本のエネルギー自給率は資源エネルギー庁のデータによると、2017年9.4%、2018年11.7%、2019年9.4%と低い水準で推移し続けています。
参考:資源エネルギー庁
火力発電に用いる石油、石炭、天然ガスはほとんど海外からの輸入に頼っているのが現状です。
このような状況下で、外交問題や災害など、資源調達に何らかの問題が生じてしまうと、国内の電力供給がたちまち不安定になってしまうといった懸念もあります。
最近では、ウクライナ侵攻において、日本はロシアへの制裁として、ロシア産の石油の輸入禁止という措置を取りました。
今まで日本は石油のおよそ6%をロシアから輸入していました。この6%の資源が絶たれただけでも国内で電力逼迫による節電要請が出されるようになったのです。
このような状況を少しでも改善するために、太陽光発電は大変有効な発電方法なのです。
まず、太陽光発電は、屋根、壁、屋上などの空いたスペースを活用することができ、特別な用地を確保せずとも手軽に始められます。
火力発電では大規模発電所に大きく依存していましたが、太陽光発電は家庭でも発電を行うことができるため、太陽光パネルを設置する家庭や事業者が増えれば増えるほど国内でのエネルギー自給率は上がることになります。
また、今までの発電所依存型の電力供給は、災害時に大規模停電をもたらし、社会を大きく混乱させてしまうことがありました。
一方で、太陽光発電は様々な場所において発電を行うことができる「分散型電源」のため、災害時の停電被害も小さく抑えられます。
環境に悪い要素は大規模発電施設が多い
「太陽光発電は用地確保のため森林伐採を行っており、二酸化炭素を吸収してくれる植物を減らしているので環境に悪い」
「土砂崩れや地滑りなどの災害を誘発する」
「有害物質を含む太陽光パネルが適切に処理されず、廃棄物を増やし、環境に悪い」
このような理由が「太陽光発電が環境に悪い要因」として挙げられています。
実は、これらの問題は、利益優先で太陽光発電に参入した大規模発電施設(メガソーラー)による乱開発が原因となるケースがほとんどなのです。
自治体も「太陽光発電に関する条例を制定」、「廃棄費用の積み立てを義務化」などの対策を講じているので、今後はこのような問題は減少していくと予想されます。
各家庭や事業所の空いたスペースを利用して太陽光発電を行うことに関しては、環境に悪い要素はなく、むしろ環境に配慮した行動と言えます。
ソーラーシェアリングは森林伐採や災害を防ぐことができる
ソーラーシェアリングという言葉を聞いたことはありますか?
ソーラーシェアリングは、農業を営みながら1つの土地から作物とエネルギーを作る方法で、営農型太陽光発電とも呼ばれます。
農地に支柱を立て、上に太陽光パネルを設置することで、下の農地からは作物を作ることができ、上の太陽光パネルからは電気を作ることができます。
森林伐採することなく広い設置場所を確保できますし、平地への設置になるので、土砂崩れの心配も少ないです。
ただ、上に太陽光パネルを設置するので、作物に届く日光が少なくなってしまいます。この方法は日光を多く必要とする作物には向かないでしょう。
太陽光発電を行うメリット・デメリット
太陽光発電の設置にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?設置するべきか迷っている方に向けてそれぞれ解説していきます。
太陽光発電のメリット
太陽光発電のメリットは以下の通りです。
メリット |
---|
・燃料枯渇の心配がない ・日本のエネルギー自給率向上 | ・電気代削減
太陽光発電の設備を整え、自家発電できるようになると、電気代の大幅削減になります。
また、従来の火力発電のように燃料を燃やす必要がないので、二酸化炭素を排出しない環境にやさしいエネルギーです。
火力発電の燃料となる石油、石炭、天然ガスは有限資源のため、使い続けるといつか枯渇する心配があります。
しかし、太陽光は太陽の光から発電をしており資源を使わないので、枯渇の心配がありません。
火力発電の燃料である、石炭、石油、天然ガスなどは主に海外からの輸入に頼っており、輸出入が途絶える有事があると、国内の電力供給に大きな影響を及ぼすことがあります。
太陽光発電を普及させることによって、日本国内でもエネルギーを作り出すことが可能になり、国内のエネルギー自給率を上げることに繋がります。
太陽光発電のデメリット
たくさんのメリットがある太陽光発電ですが、その一方、デメリットもあります。
デメリット |
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・発電量が天気に左右されやすい ・屋根への負担 ・反射光トラブル |
太陽光発電は太陽の光がないと発電できないため、雨や曇りの日は発電ができなくなってしまいます。
自家発電している家庭や企業においても、太陽が出ない日は必要量を確保できないので他の発電方法に頼る必要があるでしょう。
屋根への負担は、太陽光パネルは1枚15キロ〜20キロの重さがあるので、何枚も置くと屋根に負荷をかけ、屋根の破損や雨漏りの原因となることがあります。
屋根の耐久性と太陽光パネルの重さのバランスも考える必要があるでしょう。
また、屋根に設置した太陽光パネルによって、他の家に反射光が当たり、トラブルになるケースもあります。
設置の際にはしっかりシミュレーションをしておく必要があります。
太陽光発電は始めて後悔している人が多くいますが、なぜ後悔をしてしまうのかは以下の記事で解説しています。
太陽光は環境に悪いのか?に関するよくある質問
太陽光発電と環境の関係性についてよくある質問をまとめました。
- 太陽光発電はCO2が増えるってほんと?
- 太陽光発電がエコなのは嘘?
- 太陽光発電の安全性は?
- 太陽光発電は今後どうなる?
- 太陽光発電には猛毒が含まれているってほんと?
太陽光発電でCO2が増えるってほんと?
太陽光発電は発電に燃料を燃やす必要がなく、CO2の排出はほとんどないので環境にやさしくCO2が増えにくい発電方法です。
ただ、太陽光パネルを製造、運搬、設置の過程で必ずCO2は排出されてしまいます。
しかし、発電時はCO2の排出はほとんどないため、およそ2年太陽光発電を続けることによって、上記の過程で排出されてしまうCO2を相殺すると言われています。
電気が届くまでの過程でCO2が排出されてしまうのは、どの発電方法でも同じです。
従来の火力発電でも、原料は海外から輸入しているので、運搬するのにCO2を多く排出しています。
さらに火力発電は発電時に多くのCO2を排出しているので、総合的に考えると太陽光発電はCO2排出量を抑えた発電方法といえます。
太陽光発電がエコなのは嘘?
メガソーラー建設のために森林を伐採したり、地滑りなどの災害を引き起こしていたり、結局太陽光発電を行うことはエコではないという話も噂されています。
太陽光発電がエコなのは嘘なのでしょうか?
結論、太陽光発電はCO2を排出しない、環境に優しいエコな発電方法なので、エコは嘘ではありません。現在主流の火力発電はCO2を多く発生させることが問題視されているので、火力発電の割合を減らし、太陽光発電のような再生可能エネルギーに変更する必要があります。
再生可能エネルギーへ変更することで、大幅にCO2排出量を減らすことができ、エコに貢献できるといえるでしょう。
森林伐採や災害を誘発させてしまう建設は、環境に配慮した発電という本来の目的から外れ、私利私欲を優先してしまった事業者が起こしたケースがほとんどです。
太陽光パネル生産時や運搬時にCO2排出はありますが、およそ2年太陽光発電を続けることで、生産時に排出してしまったCO2を相殺することができます。
太陽光パネルの寿命が20〜30年なので、残りの18年から28年はCO2を排出せずに発電を行えます。
総合的に判断すると、「太陽光発電がエコなのは嘘?」は間違いということになるでしょう。
太陽光発電の安全性は?
太陽光発電設備の安全性は、通常時は電気が外に漏れないよう対策が講じられているので、さほど心配はありません。
危険なのは災害が起きた時です。災害で太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備が損傷、強風でパネルが飛散するというリスクがあります。
また損傷したパネルは送電部が剥き出しになり、むやみに近づくと感電のおそれがあります。
火災においても、水をかけて火を消し止めようとすると水を通じて電気が流れ出て、それが原因で感電してしまうこともあります。
太陽光発電は今後どうなる?
現時点でまだまだ普及しているとは言い難い太陽光発電ですが、今後は環境に優しく、一般家庭で行える発電方法としてシェアを広げていく見通しとなっています。
2050カーボンニュートラルを実現するためには、二酸化炭素の排出を抑える再生可能エネルギーへの転換を行っていく必要があります。
ウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰もあり、自家発電ができる再生可能エネルギーのひとつである太陽光発電は今後注目を集めていくでしょう。
太陽光発電の今後については、以下の記事で詳しく解説しています。
太陽光発電には猛毒が含まれているってほんと?
太陽光パネルは猛毒が含まれているとも言われますが、種類によっては「鉛、カドミウム、セレンなど」の有害物質が含まれています。
有害物質は、熱吸収率の良さ、太陽光発電の価格のハードルを下げるためにこれらを利用しています。
日本では太陽光パネルにカドミウムを含ませることは禁止していますが、海外製のパネルには使われていることが多いです。
カドミウムは日本の4大公害病の1つであるイタイイタイ病の原因物質として有名です。
鉛やセレンも雨水などを通し、河川や海に流入してしまうと生態系に影響を及ぼしたり、それを食べた人間が鉛中毒を引き起こしたりする懸念もあります。
これらの有害物質が問題となってくるのは、太陽光パネルの廃棄時です。
産業廃棄物として適切に処理されなければなりませんが、不法投棄など、廃棄方法を間違えると、環境問題や公害などに繋がりかねません。
そもそも太陽光パネル設置元が廃棄方法や有害物質の含有を分かっていないケースも多く、このようなことを開示しない販売業者も存在します。
2040年ごろに訪れると予想されている太陽光パネル大量廃棄の時代。太陽光発電廃棄等積立制度があるとはいえ、大量廃棄の問題が起こる前に、廃棄方法の周知や太陽光パネルのリサイクル、リユース促進を図っていく必要があるでしょう。
太陽光発電の環境まとめ
これから日本は本格的な脱炭素社会に向かっていくでしょう。
温室効果ガスをできるだけ抑えた生活を営んでいく上で、再生可能エネルギーをできる限り導入していかなくてはなりません。
2030年までに達成すべき世界共通の目標SDGsのターゲットでも再生可能エネルギーの拡大について言及されています。
再生可能エネルギーの中でも家庭で気軽に取り入れることができる太陽光発電は今後広がりを見せるでしょう。
太陽光発電を巡る事故や利益を重視したが故の森林破壊など、さまざまな課題が浮き彫りになっており、逆に環境に悪いのでは?という声もあります。
しかし総合的に見ると太陽光発電は二酸化炭素を出さない環境に優しい発電方法であり、今後更に推進されていくことを考えると、太陽光発電の知識を蓄えておいて損はないと思います。
太陽光発電もそうですが、新しいものが世に出るとき、肯定的な情報、否定的な情報、様々な視点からの情報が飛び交います。
限定的な情報だけを鵜呑みにせず、メリット、デメリット含め、総合的に考え、自分にとっての最適解を探してみましょう。
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参考記事:環境庁