「容量拠出金」って知っていますか

2024年4月から「容量拠出金」の電気料金への転嫁が始まりました。
新たな制度である容量拠出金ですが、その必要性と消費者が注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

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容量拠出金とは

容量拠出金を簡潔に3行で説明すると


・2024年4月から全ての小売電気事業者が負担する、発電所の維持管理や新設の原資となる分担金

・支払う金額は小売電気事業者のシェアと電力需要によって異なる


・容量拠出金を消費者にどの程度転嫁するかは、小売電気事業者ごとの方針により違う

電気料金の内訳、見てますか?

毎月支払う電気代ですが、その内訳をじっくり見たことがあるでしょうか。

ここでは関東エリアに電気の供給を行っている東京電力エナジーパートナーの従量電灯の検針票を参考にして見てみましょう。

「基本料金」契約プラン(契約アンペアやkW)ごとに設定された固定料金

「電力量料金」電力使用量(kWh)に応じて課される料金

「燃料費調整額」電気を調達する火力発電所の燃料費コストの変動を電気代に反映させたもの

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」再生可能エネルギー発電の促進を目的とした固定価格買取制度(FIT)の原資となる、全ての国民に使用量に応じて賦課される負担金

こうしてよくよく見てみると、私たちは使用している電気の料金以外のものも支払っていることに気づかれたかと思います。
2012年より、固定価格買取制度(FIT)と再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の制度がスタートし、太陽光など再生可能エネルギーでの発電を促進するための料金を全国民が毎月分担させられています。
そして2024年4月からは「容量拠出金」という名前で、更なる分担金が課せられるようになるのです。

3.11以降の日本の発電構成

2011年3月11日の東日本大震災発生を受けて日本の発電構成は大きく変わりました。
原子力規制委員会のよる稼働レポートによると、2024年2月10日現在で国内にある59機の原子力発電所で稼働中は10機のみで、49機は廃止もしくは停止中になっています。

かつては発電全体の4分の1を担っていた原発が縮小している今、注目されているのが、太陽光や風力、バイオマスなどの  「再生可能エネルギーによる発電(再エネ)」なのです。

再エネは「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」といったメリットの反面、太陽光であれば天候や日照時間、風力であれば風力や風向きの影響といったような自然現象によるアンコントロールな部分が多大にあり、電力の安定供給には課題のある発電方法です。

安定供給の優等生

再生可能エネルギーは季節や天候などによって発電量が大きく変わる電源のため、それによって需要とのバランスが崩れないように手当てしていかなくてはなりません。
そこで再エネ発電の供給量を補完するように発電することで、出力を調整しバランスがとれるようにする役目を担っているのが 火力発電 なのです。

火力発電のメリットとして、燃料さえあれば安定的に供給できることと、燃料の投入量を変更すれば、柔軟に出力を調整できることが挙げられます。
CO2排出があったり、原資となる化石燃料が有限なことなどの課題はありますが、
再エネの拡充のためにはその不安定要素をカバーするための火力発電の維持と増強も欠かせません。

しかしながら、現在日本にある火力発電所の多くは老朽化が進んでおり、そのメンテナンスや改修には莫大な資金が必要です。

いま支払う電気料金はいつのためのもの?

こういった背景から、恒久的に安定した電気を使用するために電気を使用する側から強制的に徴収する制度として容量拠出金の仕組みが導入されました。

「じゃあ、それは毎月いくら払うの?」と思いますよね。

容量拠出金は年度ごとにその金額が決まっており、2024 年度(2024.4/1~2025.3/31)の全国総額でおよそ 1 兆 6,000 億円となっています。
容量拠出金は、当該年度の4年前に実施された「容量市場」オークションの約定結果を踏まえて算定されるため毎年変動します。ちなみに2025年度は約5,000億円となり、容量拠出金負担額も大幅に下がることが予定されています。

支払う対象者は「各小売電気事業者」ですが、皆さんが契約している各電力会社を経由して、間接的に私たち電力消費者が負担をすることになります。

容量拠出金は全員一律平等ではない!

1年間に総額でおよそ 1 兆 6,000 億円を電気契約をしている全員で分担するということですが、現在の日本の人口が 1億2,400万人あまりで、その大半が電気契約をしていることから、単純計算では月額ひとりあたり1,000円以上の負担です!

「また値上がりなのか、、、」と落胆する前に、できることがあります。

それは  契約している電力会社の見直しをする ことです。

容量拠出金についてはその徴収対象が「小売電気事業者」であるため、契約者に転嫁される金額は電力会社ごとの方針により定められることになります。

つまり、契約会社によって支払う金額が異なるのです。

容量拠出金を消費者に転嫁せず全額を自社で負担するといった電力会社も出ているため、今の契約を見直すためにも他社を比較検討することをおすすめします。

今も未来も賢く電気を使うために、、、

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