「ZEH(ゼッチ)」という言葉を見たり聞いたりする機会が多くなっています。
ZEHとは、断熱性能を強化した上で太陽光発電などによる再生可能エネルギーを導入し、省エネルギー性能を従来よりも大幅に高めた住宅のことです。
ZEH住宅では一年を通して室内が快適な環境になるだけでなく、家計の光熱費を大幅に抑えることも可能です。
また、一定の基準を満たすと国の補助金を受けられることがZEHの大きなメリットで、近年注目を集めています。
本記事ではZEH住宅の特徴と最新の補助金詳細などについて分かりやすく解説します。
補助金を活用してお得に太陽光発電を導入するチャンスですので、新築住宅の購入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
ZEH(ゼッチ)とは?
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロエネルギー・ハウス(net Zero Energy House)」の略称です。
まずはZEH住宅の定義から解説します。
ZEH住宅に必要な4つの要素
ZEH住宅の定義は以下の4つです。
①「UA値」が基準値以下であること
②「一次エネルギー消費量」が基準値から20%以上削減されていること
③太陽光発電などの「再生可能エネルギー」が導入されていること
④一次エネルギー消費量から再生可能エネルギー導入量を差し引くとゼロ以下になること
ZEH住宅の定義①基準値以下のUA値
ZEH住宅の断熱性能の評価には「外皮平均熱貫流率(UA値:ユーエー値)」が用いられています。UA値は室内の熱が外にどれだけ逃げてしまうかを表す数値です。
UA値が低いほど建物の熱損失が少なく、気密断熱性能が良いという評価になります。
地域によってZEH基準を満たすUA値が違いますので、下表を参考にしてください。
ZEH住宅の定義②一次エネルギー消費量をおさえる
一次エネルギーとは石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を使用して発生させたエネルギーのことです。
ZEHの計算にあたっては、冷暖房・換気・給湯・照明に使用する電気やガスの使用量を一次エネルギー消費量に換算して算定します。
省エネ性能の高い機器を設置して一次エネルギー消費量を基準値より20%削減することが、ZEH住宅に求められる基準値です。
ZEH住宅の定義③太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入
ZEH住宅として認定を受けるためには、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することが必須です。
住宅の屋根などに太陽光パネルを設置し、発電した電力を家庭内で消費することを想定しています。
日中不在がちな家庭では蓄電池を導入して太陽光発電の余剰電力を蓄えておくと、発電を停止する夜間にも再生可能エネルギーを使用することが可能になります。
そのため、ZEH住宅では蓄電池の設置も推奨されており、補助金増額の対象になります。
ZEH住宅の定義④差し引きでゼロエネルギー
年間に使用が想定される一次エネルギー消費量を、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入によって相殺し、トータルでゼロ以下になる試算が成り立つ場合にZEHとして認定され補助金の対象になります。
ただし、一次エネルギー消費量算定の対象となるのは冷暖房・換気・給湯・照明に使用するエネルギーです。
それ以外の電力、例えば家電製品に使用する電力などは対象外ですので、電気料がゼロになるという意味ではありませんのでご注意ください。
その他のZEH基準
政府は地球温暖化の原因となるCO2排出量の削減のために省エネルギー性能の高いZEH住宅の建築を推進しており、「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」ことを当初の目標としていました。
しかし、ZEH仕様にすることで建築コストが上がってしまうことや、積雪地では太陽光パネルの設置が難しいなどの事情もあり、なかなか普及が進んでいないのが現状です。
そこで政府はZEH住宅の建築をさらに促進するために、認定条件を緩和した「Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)」「ZEH Oriented (ゼッチオリエンテッド)」という新たな認定基準を導入し、補助金の対象範囲を広げています。
・Nearly ZEH
ZEH基準の①~③を満たし、④を75%以下の削減に緩和したもの
・ZEH Oriented
ZEH基準の①と②のみ達成しているもの
また、ZEHの性能基準を超えたうえで、エネルギーマネジメントシステム(HEMS)を導入したり、電気自動車用を活用した充放電設備(V2H)を導入した住宅は「ZEH+(ゼッチプラス)」として補助金の大幅な増額対象になります。
・ZEH+
ZEHの定義を満たし、かつ以下のⅠとⅡを満たすこと
Ⅰ.省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量を削減する
Ⅱ.以下のうち2つ以上を導入する
①外皮性能の更なる強化
②高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)
③電気自動車を活用した充電設備または充放電設備(V2H)
・Nearly ZEH+
ZEH+の一次エネルギー消費量を75%以上の削減に緩和したもの
ZEHビルダー/ZEHプランナーに依頼が必要
ZEHの認定を受けるためには、政府機関に登録されているZEHビルダー/ZEHプランナーが建築や設計、販売に関与している必要があります。
これから住宅の新築をご検討されている方は、依頼先のハウスメーカーや工務店、設計事務所がZEHビルダー/ZEHプランナーとして登録されているかを事前に確認しておきましょう。
太陽光発電にもつかえる2024年度ZEH補助金
ここでは、ZEH住宅が受けられる補助金の概要について分かりやすく説明します。
補助金を上手く活用できれば住宅購入の資金計画に大きなメリットがありますので、積極的に検討することをおすすめします。
ZEH住宅の補助金
ZEH住宅の補助金は一戸当たり定額55万円です。
※ 寒冷地および低日射地域、多雪地域の場合は「Nearly ZEH」、太陽光パネルの設置が難しい都市部の狭小地などの二階建以上の住宅あるいは多雪地域の場合は「ZEH Oriented」も同額の補助金対象になります。
ZEH+住宅の補助金
ZEH+の補助金は一戸当たり定額100万円となり、通常のZEH仕様よりも大幅な増額になります。
※ 寒冷地および低日射地域、多雪地域の場合は「Nearly ZEH+」も同額の補助金対象になります。
ハイグレード仕様補助金
ZEH+の場合は、断熱性能を基準値よりもさらに向上させて一次エネルギー消費量を大きく削減した住宅にハイグレード仕様補助金として一戸当たり25万円もしくは10万円の補助金を加算する制度があります。
蓄電池等の追加補助金
ZEHおよびZEH+に下記の設備を追加すると補助金が加算されます。
中でも、太陽光発電とセットで導入することに大きなメリットがある蓄電池が補助金加算対象となりますので、ぜひ導入をご検討ください。
・蓄電システム 20万円
・直交集成板(CLT) 90万円
・地中熱ヒートポンプシステム 90万円
・PVTシステム 65万円/80万円/90万円 ※ 方式、パネル面積により異なる
・液体集熱式太陽熱利用温水システム 12万円/15万円 ※ パネル面積により異なる
ZEH補助金の申請スケジュール
令和6年度のZEH補助金の公募が4月26日から始まっており、令和7年1月7日が最終締切となっています。
補助金への応募を検討されている方は、ZEHビルダー/ZEHプランナーを通して補助金申請することになりますので、依頼先のハウスメーカーや工務店、設計事務所にご相談ください。
参照:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業
自治体の補助金も併用できる可能性
ここまでご紹介したのは経済産業省と環境省による国の補助金事業ですが、各自治体が独自に補助金を用意しているケースもあります。
国の補助金と併用できる場合もありますので、建築地の自治体へ確認するようにしましょう。
例えば神奈川県では中小工務店が県内にZEH住宅を新築する場合に一戸当たり55万円(ZEH+の場合は100万円)を補助する制度があり、これは国の補助金との併用が可能です。
参照:令和6年度神奈川県ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/cnt/f300183/zeh.html
【2024年最新】その他のZEH優遇制度
ZEH住宅を建築する際には、国や自治体の補助金とは別に税金や住宅ローン金利が優遇される制度を利用できる可能性があります。
住宅ローン減税制度
住宅ローン減税は、新築住宅の場合13年間にわたって年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から直接差し引く制度です。
所得税より減税額が多い場合はさらに住民税からも差し引くことができるため、非常に大きな節税効果があります。
2024年中に入居する場合、「ZEH水準省エネ住宅」は住宅ローン減税の対象となる借入額の限度が3,500万(子育て世帯・若者夫婦世帯は4,500万)です。
以前は住宅の性能に関わらずローン残高2,000万円までの減税を受けられましたが、2024年からは一定の省エネ基準に適合しない住宅はこの制度を利用できなくなっています。
新築した後に13年も節税効果が続きますので、この減税制度を利用できるというメリットだけでもZEH仕様で住宅を建築する意味は大きいと言えます。
住宅ローン優遇金利
住宅ローンを利用したZEH住宅の購入には政府の後押しもあり、金利の優遇が受けられる場合があります。例えば、ローン全期間固定金利の【フラット35】では、当初5年間の金利が0.75%引き下げられます。
詳細はローンをお申し込みの各金融機関にご確認ください。
住宅ローン減税と優遇金利については、こちらの国交省サイトも参考にしてください。
参照:国土交通省HP 優遇制度で建てたい人を応援!
https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/economic-benefits/subsidy/index.html
まとめ
今回はZEH住宅の特徴とメリット、最新の補助金や減税制度の詳細について解説しました。
地球温暖化の原因となるCO2の排出量を削減するためには、住宅の省エネ化と太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が重要な役割を担っています。
そのために国が積極的に推進している住宅仕様ですので、現時点では補助金や減税など多くの優遇政策が用意されています。
これらの補助金や優遇制度を上手に活用して、住宅を建築する際の有力な選択肢としてぜひご検討ください。
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