ペロブスカイトとカルコパイライトの最新実証事業!補助金についても解説

これまでの太陽光発電は、シリコン系パネルが主役でした。政府は「2050年カーボンニュートラル」に向けて太陽光パネルのさらなる増設を推進していく方向ですが、平地が少ない日本において、その適地不足は深刻な課題となっています。

その問題を一気に解消する技術革新として「ペロブスカイト太陽電池」「カルコパイライト太陽電池」の開発が進められており、早期の実用化に向けて実証実験が各地で進んでいます。

本記事では、急速に進展しているこれら次世代太陽電池の最新実証事業を徹底解説します。また、これらを後押しする国や自治体の大型補助金制度についても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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ペロブスカイトやカルコパイライト太陽電池が注目される理由

従来の重くて硬いシリコンパネルでは設置できなかった場所である、「ビルの壁面」「耐荷重の低い屋根」「曲面デザインの建築物」さらには「移動体」を発電所へと変える技術が求められています。

ここで登場するのが、日本が技術的優位性を持つ以下の2つの技術です。2025年には、これらの技術の実用化に向けて最終段階のテストが各地で一斉に開始されました。

ペロブスカイト太陽電池(PSC)

ペロブスカイト太陽電池は、薄く軽量で曲げられる特徴を持つ次世代の太陽電池です。量産化されれば低コストでの製造が見込まれており、かつ曇りや室内光などの弱い光でも発電できる高いポテンシャルを秘めています。

この革新技術の生みの親である宮坂力教授(桐蔭横浜大学)は、ノーベル賞の有力候補としても世界的に注目される存在です。日本は主原料であるヨウ素の埋蔵量が世界2位と資源的にも有利で、技術開発でも世界をリードしています。

2025年はペロブスカイト太陽電池の「実用化元年」とも呼ばれ、各社が量産化に向け実証実験を加速中です。脱炭素社会の実現とエネルギー自給率向上の鍵を握る技術として、日本発のエネルギー革命に大きな期待が寄せられています。

(内部リンク)ペロブスカイト太陽電池の現状と展望は?実用化事例についても解説!

(内部リンク)ペロブスカイト太陽電池の生みの親|宮坂教授の偉業とは?実用化で加速するエネルギー革命!

カルコパイライト太陽電池(CIS/CIGS)

次世代太陽電池としてペロブスカイトが話題ですが、技術的な成熟度で一歩リードする「カルコパイライト(CIGS)太陽電池」をご存じでしょうか?

銅やインジウムなどを原料とするこの電池は、ペロブスカイト同様に薄く軽量で柔軟性があるのが特徴です。熱や放射線にも強く長寿命という高い耐久性も魅力で、宇宙開発でも採用されています。

希少金属を使用するため供給面の課題はありますが、既に多くの実証実験が進んでおり、「今すぐに使える未来の技術」として、都市型太陽光発電の現実的な選択肢となりつつあります。

(内部リンク)カルコパイライト太陽電池とは?ペロブスカイトと並ぶ注目の技術を徹底解説!

【参考】ペロブスカイトとカルコパイライトの比較表

項目ペロブスカイト  (PSC)カルコパイライト  (CIS/CIGS)
主な材料ヨウ素、鉛など (国内自給可能)銅、インジウム、セレン (レアメタル含む)
特徴透光性あり、室内光に強い影や熱に強い、長寿命
現在の課題耐久性(水分に弱い) 大型化レアメタルの供給 製造コスト
向いている場所窓ガラス、屋内、壁面乗り物、過酷環境、ビル外壁
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ペロブスカイト太陽電池(PSC)の最新実証事例

日本企業はフィルム型太陽電池の開発で世界をリードしており、中国勢が先行するガラス基板型とは異なる市場を開拓しようとしています。

ここでは、ペロブスカイト太陽電池の最新実証事例をご紹介します。

事例① 積水化学工業:量産化と金融機関での実証

積水化学工業は、ペロブスカイト太陽電池の実用化における国内のトップランナー的な立ち位置にあります。同社は独自の封止技術を活用し、課題であった耐久性を克服しつつあります

  • GXサプライチェーン構築支援事業への採択

2024年12月、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に積水化学の100MW規模の製造ライン設備投資プロジェクトが採択されました。

その規模は圧倒的で、補助対象経費は約3,145億円、補助金額は約1,572億円に達します。これは、国が本気で国内に量産拠点を構築しようとする意志の表れです。

(関連リンク)ペロブスカイト太陽電池の量産化に関するお知らせ

  • 三菱UFJ銀行との都市型実証

技術開発だけでなく、需要の創出も進んでいます。三菱UFJ銀行と連携し、同行の大井支店や横浜市の研修施設での実証を開始しました。

都心部のビル密集地における耐久性や、周囲の建物による影の影響を検証する重要なプロジェクトです。金融機関が保有する多くのビルの壁面や屋上が発電所になれば、再生可能エネルギー導入量の拡大に大きく貢献するでしょう。

(関連リンク)フィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験開始~国内初、銀行店舗・研修施設での実証実験~ | 積水化学工業株式会社

(関連リンク)積水化学 神戸空港でペロブスカイトの新たな実証へ

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事例② エネコートテクノロジーズ:IoTとデザインの融合

京都大学発のスタートアップ、エネコートテクノロジーズは、ペロブスカイトの「低照度特性」と「デザイン性」に注目したユニークな展開を見せています。

  • 高級レジデンスでの「見せる発電」

三井不動産レジデンシャルと協力し、東京都港区の高級マンションにおいて、ペロブスカイト太陽電池を電源とする「アートアロマディフューザー」を導入しました。
これは大規模発電ではありませんが、電源コードが不要なIoTデバイスとしての可能性を示す好例です。
*2026年1月現在 メンテナンスのため撤去されています

(関連リンク)日本初、ペロブスカイト太陽電池を活用したアートアロマディフューザーの導入を開始

事例③ マクニカ:過酷環境での耐久テスト

技術商社のマクニカは、自社工場を持たないファブレスな立ち位置で、技術シーズと実証フィールドをつなぐ役割を果たしています。

  • 箱根・大涌谷エリアでの実証

マクニカは小田急電鉄グループと連携し、箱根エリアでのペロブスカイト実証実験を行っています。

箱根、特に大涌谷周辺は硫化水素などの火山性ガスが発生する特殊な環境です。ここで電子機器の腐食耐性を検証することは、将来的に沿岸部や工業地帯など、過酷な環境へペロブスカイト太陽電池を展開するための重要な試金石となります。

(関連リンク)ペロブスカイト太陽電池の早期社会実装に向けた「神奈川県次世代型太陽電池普及促進事業」プロジェクトへの参画について | 株式会社小田急箱根のプレスリリース

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カルコパイライト太陽電池(CIS/CIGS)の最新実証事例

日本では「ソーラーフロンティア」がカルコパイライト太陽電池(CIS/CIGS)の先端企業でしたが、同社は現在は自社生産からは撤退しています。しかし、「PXP」などのその技術遺伝子を受け継ぐスタートアップ企業によって、より進化を遂げています。

シリコンでは絶対に真似できない「薄さ」「軽さ」「曲げ耐性」を武器に、ニッチ市場を攻略しています。

事例④ PXP × 日産自動車:曲面デザインとの融合

  • 店舗キャノピーの円柱への設置

画像出展:日産自動車

2025年10月から、神奈川県内の日産販売店において画期的な実証が始まっています。店舗のガラス面だけでなく、入り口のキャノピー(ひさし)を支える円柱にPXP製のフレキシブルCIS太陽電池を巻きつけています

半径の小さい円柱への設置は、割れやすいシリコンパネルでは不可能です。この実証は、ガソリンスタンドやEV充電ステーションなど、曲面を多用したデザイン性の高い建築物への導入可能性を広げるものです。

また、EV販売店として「環境先進性」をアピールするブランディング効果も狙っています。

(関連リンク)日産、自動車販売店として国内初となる次世代型太陽電池「カルコパイライト太陽電池」の実証実験を開始

事例⑤ PXP × 神奈川中央交通:「走る発電所」への挑戦

  • 路線バスの屋根での実証

2025年11月から2026年3月にかけて、神奈川中央交通の路線バスの屋根にカルコパイライト太陽電池を搭載し、公道を走行する実験が行われます。発電した電力で空調や電装品を補助し、燃費改善とCO2削減を目指します。

バスの屋根は過酷です。走行中の激しい振動、加減速による衝撃、洗車機による物理的負荷、さらには街路樹との接触リスクもあります。薄膜で割れにくく、振動に強いカルコパイライト太陽電池だからこそ可能な挑戦です。

(関連リンク)次世代型太陽電池を活用した燃費改善実証実験を開始 ~神奈川中央交通の路線バスにカルコパイライト太陽電池を搭載

事例⑥ PXP × 新潟県:雪国仕様の太陽電池

  • 「雪」を味方につける垂直・曲面設置

画像出典:新潟日報

新潟県の「次世代型太陽電池実証支援事業」に採択された「SOLABLE(ソラブル)」のプロジェクトでは、豪雪地帯特有の課題に挑みます。

従来の屋根置きパネルは雪が積もると発電できず、重みで建物が壊れるリスクもありました。そこで、軽量なカルコパイライト太陽電池を雪国特有の「かまぼこ屋根」の曲面に貼ったり、壁面に垂直に貼ったりすることで、雪の影響を極力受けずに発電を継続します。

さらに、雪面からの照り返しは強力な光エネルギーを持っています。カルコパイライト太陽電池の高い光吸収特性を活かし、この反射光を電力に変える効率も検証されます。

(関連リンク)新潟県が実施する、『次世代型太陽電池実証支援事業補助金』に採択

事例⑦ サントリー:自販機のレジリエンス強化

  • 災害時の給水ステーション化

画像出典:相模原市

相模原市の公園では、自動販売機の曲面筐体にPXPのパネルを実装する世界初の実証が行われています。

自販機が太陽光で自立稼働できるようになれば、停電時でも飲料水を提供できる「災害時給水ステーション」として機能します。日本中に遍在する自販機網が、そのまま防災インフラへと進化する可能性を秘めた事例です。

(内部リンク)サントリー カルコパイライト太陽電池で稼働する自販機の実証開始

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導入を加速させる「国・自治体」の補助金動向

ペロブスカイトカルコパイライトの技術開発や実証事業については、国や自治体による支援制度があります。企業や事業者がこれらの新技術を導入する際に費用の1/2〜2/3をカバーできるケースが多く、先端技術を導入できるチャンスが広がっています。

国(環境省・経済産業省)

  • 環境省|GXサプライチェーン構築支援事業

積水化学の例に見られるように、数千億円規模の設備投資を支援する制度です。この支援事業により、他国に先駆けて国内での量産体制を確立させる意図があります。

(関連リンク)環境省がペロブスカイト太陽電池&蓄電池導入に補助金

(関連リンク)環境省|ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業

(関連リンク)公募情報 ≫ ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業

  • 経済産業省|グリーンイノベーション基金

次世代型太陽電池の開発・実証に総額数千億円規模の予算を投じ、技術的なブレイクスルー(変換効率向上、耐久性改善)を加速させています。

(関連リンク)経済産業省|グリーンイノベーション基金

東京都:「Airソーラー社会実装推進事業」

東京都はペロブスカイト太陽電池にAirソーラーという愛称を付け、研究開発事業を強力に支援しています。

(関連リンク)Airソーラー(次世代型太陽電池)の普及拡大|太陽光ポータル|東京都環境局

  • 特徴

地価が高く施工費も嵩む都内において、既存ビルの壁面や窓ガラスを活用した発電を促進します。

上限額が高いため、大規模なビル改修や本格的な導入プロジェクトに適しています

  • 補助上限

1事業あたり4,000万円

  • 補助率

助成対象経費の2/3以内

(関連リンク)クール・ネット東京|Airソーラー社会実装推進事業

神奈川県:「次世代型太陽電池普及促進事業」

  • 特徴

温泉地、バス、店舗など多様なフィールドでの実証を推奨し、技術の「適用限界」を見極めるポートフォリオ戦略をとっています。マクニカやPXP、日産といった県内ゆかりの企業技術を積極的に後押ししています。

  • 補助上限

実証事業:2,000万円

普及啓発:200万円

  • 補助率

実証事業:助成対象経費の2/3以内

普及啓発:助成対象経費の100%

(関連リンク)次世代型太陽電池普及促進事業費補助金 – 神奈川県ホームページ

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新潟県:「次世代型太陽電池実証支援事業」

  • 特徴

雪国特有の課題解決に特化し、「積雪」や「日照不足」というネガティブ要素を技術でどう克服するかに重点を置いています。

ここで得られたデータは、寒冷地へのビジネス展開において強力なエビデンスとなります。

  • 補助上限

1,500万円

  • 補助率

補助対象経費の1/2以内

(関連リンク)次世代型太陽電池実証支援事業補助金 – 新潟県ホームページ

福岡県・福岡市:「ペロブスカイト太陽電池導入支援事業」

  • 特徴

ペロブスカイト太陽電池などの先進技術を、県内の成長産業として育成する意図があります。特に環境省や経産省の補助金と組み合わせることで、事業者の自己負担を最小限に抑えるスキームを推奨しています。

  • 補助内容

県は実証事業に最大500万円、市は国補助金への上乗せ支援

  • 補助率

県:
補助対象経費の1/2以内

市:
国補助が2/3:補助対象経費の1/6以内
国補助が3/4:補助対象経費の1/8以内

(内部リンク)次世代太陽電池「カルコパイライト」福岡空港の屋根で実証事業

(関連リンク)福岡県ペロブスカイト太陽電池等実証事業補助金

(関連リンク)福岡市 ペロブスカイト太陽電池導入支援事業

【参考】主な自治体の補助金制度比較表

項目東京都神奈川県新潟県福岡県 福岡市
制度名称Airソーラー社会実装推進事業次世代型太陽電池普及促進事業次世代型太陽電池実証支援事業補助金ペロブスカイト太陽電池導入支援事業
主な対象ペロブスカイト等の次世代型次世代型(ペロブスカイト、カルコパイライト等)軽量・柔軟性を有する次世代型(国内製造)ペロブスカイト太陽電池等
補助上限額4,000万円実証事業:2,000万円 普及啓発:200万円1,500万円県:500万円 市:国補助金への上乗せ補助
補助率2/3以内実証事業:2/3以内 普及啓発:100%1/2以内県:1/2以内

今後の展望

ここまで見てきたように、ペロブスカイトカルコパイライトは、それぞれの特性を活かして適材適所での導入が進んでいます。

2025年からの数年間は、本記事でご紹介した実証実験によって得られたデータをもとに、施工方法の標準化(接着工法やメンテナンス性)や、量産によるコストダウンが進む時期です。 企業経営者や不動産オーナーにとって、今の段階からこれらの実証に参画し、ノウハウを蓄積することは、脱炭素社会における競争優位性を築くための重要な投資となるでしょう。
補助金制度が充実しているこのタイミングを逃さず、
次世代エネルギーの波に乗ることをご検討されてはいかがでしょうか。

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